事業承継
2018/09/04

「事業譲渡」と「会社分割」の類似点と税務上の違い

(画像=PIXTA)
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事業譲渡と会社分割は事業の一部を他社に移転することのできる手法として共通しています。一方で法律上の性質には違いがあり、税務上の取扱いも異なります。この記事では類似点や相違点などについてそれぞれ解説していきます。

事業譲渡と会社分割の類似点

事業譲渡も会社分割も、事業環境の変化への対応や企業再生などを目的に行われるM&Aの手法の一つです。事業譲渡と会社分割の違いについて考えていくために、まずその定義を説明します。

事業譲渡については「会社が営む事業の個別の資産及び負債につき、個別の取引行為として全部又は一部を譲渡すること」になります。このことから「特定承継」とされます。

また会社分割については「会社がその事業の全部又は一部を会社法上の組織再編行為として包括的に他の会社に承継させ(吸収分割)、または新たに設立する会社に承継させること(新設分割)」になります。このことから、「包括承継」とされます。

こうした説明からも分かるように、事業譲渡と会社分割は事業を自社から別の会社に承継されるという観点でとらえると類似していると言えなくもありません。一方で、承継方法、債務者の合意の必要性、消費税の課税などにおいては明確に違いがあります。

事業譲渡と会社分割の相違点

事業譲渡と会社分割ではまず承継方法が異なります。

事業譲渡で事業を承継させる場合は、従業員や債務、不動産などの移転につき個別の同意が必要で手続きが煩雑になり、手続きに長期間が必要となる場合や個別同意が取得できない可能性が生じるというデメリットがあります。そのため、早くからの検討や準備を一層慎重に行う必要性があると言えるでしょう。

債権者の同意についても、事業譲渡と会社分割ではその扱いに違いがあります。事業譲渡の場合には、債務の移転を自由に行うことが認められていません。つまり、該当事業の債務の移転には、債権者から同意を得ることが求められています。

会社分割の際には債権者の同意は要りません。その代わり、異議を申し立てた債権者に対しての弁済や担保提供などを行うことを定めた債権者保護手続が必要とされていることは、覚えておく必要があります。

税務上の取り扱い

まず法人税法上については、事業譲渡も会社分割の場合でも「資産を時価で譲渡したもの」として譲渡益を計算して、原則課税されます。なお、取引金額が時価でないと判断される場合には、寄付金課税の対象となることがあることも覚えておきましょう。

次に、消費税については事業譲渡では土地などの非課税資産を除いて原則消費税の課税対象になりますが、一方、会社分割においては、消費税は包括承継のため不課税となります。

また不動産所得税については、会社分割の場合には一定の要件を満たした場合には課税されないという特徴もあります。

両方ともM&Aの手法であるが似て非なるもの

以上のように、事業譲渡も会社分割もM&Aの手法の一つではありますが、承継方法、税務面で違いがあります。

似ている点もある一方で、性質が異なる性質も持っていることを認識しておくことが重要であると言えるでしょう。

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