事業承継
2018/05/31

事業承継の対策には欠かせない「株式譲渡」を徹底解説!

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
事業承継は相続だけで済ませることも可能ですが、相続税の負担を軽減させるために生前に株式を移転し、親族外に事業承継する手段として株式譲渡を活用することもひとつの手段です。そこで今回は、株式譲渡をするにはどのような手続きが必要となり、どのような税金が課せられるのかなど、株式譲渡の手法について解説します。

株式譲渡とは何か

株式譲渡とは文字通り、株式を相手方に譲り渡すことをさします。会社法127条は、株式は原則として自由に譲渡できると定めています。これは「株式譲渡自由の原則」と呼ばれ、株主が資金を回収する手段を確保するために守られている考え方です。

株券を発行している会社では、株式譲渡の意思表示をし、株券を相手に渡さないと株式譲渡の効力が生じません。一方、株券を発行していない会社では株式の売り手と買い手の間で合意さえあれば株式譲渡の効力が生じます。

ただし、売り手と買い手の間で株式譲渡契約書や株式売買契約書を取り交わして契約を締結するのが通常のやり方です。重要な財産に関わる取引ですので、後になってトラブルにならないよう、約束事を文書にしておくのは当然のことと言えるでしょう。

また、株券が発行されていない場合、株式譲渡があったことを第三者に主張するためには会社の株主名簿に譲渡を受けた側の名前が記載されることが必要です。株式譲渡契約があったことは当事者にしか分かりません。株主名簿を要件とするのは、権利関係を明確にするという意味を持っています。

生前贈与や相続との違いは?

では、ここで株式譲渡と他の承継方法との違いを確認します。まず、生前贈与との違いを説明しましょう。生前贈与は無償で株式を譲渡することを意味します。そのため生前贈与は株式譲渡の一種とも言えますが、通常は親族に譲渡するのが生前贈与、親族外に譲渡するのが株式譲渡と区別されます。

税金に関しては、生前贈与の場合は贈与を受けた人に贈与税が課されます。これに対し、株式譲渡の場合は譲渡した人に所得税などが課されるという違いもあります。

次に相続との違いに触れます。相続は自社株を保有しているオーナー経営者が亡くなったときに発生するものですが、株式譲渡は経営者が生前に株式を移転させる点で異なります。また、相続は親族を対象としますが、株式譲渡は親族外も対象となります。

相続の場合は遺産を受け継いだ相続人に相続税が課されるのに対して、株式譲渡の場合は譲渡した人に所得税などが課されるという違いがあります。

株式譲渡にかかる税金について

株式譲渡に課される所得税などの税金について、もう少し詳しく確認しましょう。事業承継の一環として株式譲渡が行われる際には通常は譲渡所得が発生します。株式にかかる譲渡所得は他の所得とは合算せず、区分して税額を計算する「申告分離課税」となります。

非上場株式の場合、譲渡所得の金額は「総収入金額(譲渡価額)-必要経費(取得費+委託手数料等)」という数式で導き出します。創業オーナーの場合、取得費は「資本金÷発行済株式総数」に譲渡株式数を乗じたものと考えられます。ただし、譲渡価額の5%に相当する額を取得費とする特例も利用できます。有利な方を採用します。

申告分離課税の譲渡所得に課される税率は所得税が15.315%(復興特別所得税を含む)、住民税が5%です。たとえば、資本金5,000万円の会社の創業オーナーが持ち株のうち半分を1億円で譲渡した場合、譲渡所得は7,500万円(1億円-5,000万円×2分の1)となり、所得税と住民税を合わせた約20%の税率を乗じると税額は1,500万円程度と計算できます。

事業承継として株式譲渡を行う際に気をつけること

第三者に株式譲渡する際、譲渡価額の決定方法に悩む経営者も多いようです。相手方との間で譲渡価額が折り合わずに交渉が決裂する可能性もあります。そのため、双方が納得する監査法人や公認会計士にデューデリジェンスや株価算定を依頼し、価額交渉の一助とするのもひとつの方法です。

また、譲渡価額が適正な時価から乖離していると税務上のリスクもあります。具体的には贈与税を課される心配をした方がいいでしょう。適正な時価より高い価額で譲渡すると売り手側に低い価額で譲渡すると買い手側に贈与税が課される可能性があるので注意が必要です。

総合的な検討が大切

上記以外にも、株式譲渡制限が付されている会社では株式譲渡契約を締結するだけでなく、会社の承認が必要です。取締役会ないしは株主総会の決議を経て適法に株式譲渡できるように留意する必要があります。

また、贈与税の暦年課税、相続時精算課税、事業承継税制などを併用して有利な譲渡方法を検討する必要もあります。株式譲渡の手続きは煩雑になりがちです。専門家のアドバイスも聞きながら総合的に検討しましょう。

 

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