事業承継
2018/05/31

わかりやすく解説!事業譲渡するときにかかる税金

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
M&Aの手法のひとつに事業譲渡があります。事業譲渡を活用すれば、買い手は必要な資産のみを買い取ることができ、債務、税務リスク等を引き継がなくても済みます。このため、事業譲渡は会社の大小にかかわらず広く用いられている手法です。

この記事では、会社が事業譲渡をするときにかかる税金について分かりやすく解説していきます。

事業譲渡するときの法人税

事業譲渡とは、会社が事業の全部または一部を第三者に売却することをさします。事業の全部または一部についての資産や負債、権利関係などについて権利を移転させる事業譲渡契約を締結して事業を譲渡する流れで事業譲渡していきます。事業を譲渡する主体は会社ですので、事業譲渡の対価は個人(株主)ではなく会社が受け取ることになります。ここで気になるのは対価を受け取る会社に法人税がかかるかどうかが問題になります。

事業の一部譲渡とよく似たものに会社分割があります。会社分割は、売却したい事業を新会社に分割して、その新会社を売却します。

会社分割と事業譲渡との制度上の違いは、会社分割は事業を包括的承継することであるのに対し、事業譲渡は事業の移転につき個別の同意が必要な点です。

また、法人税法上は、事業譲渡も会社分割のどちらの方法を取ったとしても、原則的には資産を時価で移転したものとして課税の対象になります。ただし、会社分割は「組織再編成税制」の適用があるため、適格分割の要件を満たせば分割時の税金が繰り延べられます。一方、事業譲渡は組織再編成税制の適用がないためで、税金が繰り延べられることはありません。

したがって、事業譲渡で移転する個別資産の譲渡価格から帳簿価額を引いた金額がプラスの状態、つまり「含み益」の状態である場合には、その含み益に対して法人税が課税されます。

反対に、事業譲渡で移転する個別資産の譲渡価格から帳簿価額を引いた金額がマイナスの状態、つまり「含み損」の状態である場合には、法人税はかかりません。また、他に利益が出ている場合には、含み損とその他の利益と通算して納税額を下げることができます。

事業譲渡するときの消費税

事業譲渡するときには消費税を考慮する必要があります。消費税は基本的に「資産の譲渡」があった場合に譲渡価額に上乗せされる税金です。

一方、会社の合併や分割は、会社の組織再編成するための行為として、資産や負債の移転は「資産の譲渡」には当たりません。消費税法上は課税の対象外とされています。

それに対して、事業譲渡は「資産の譲渡」とみなされ消費税法上、課税対象となります。そこで、事業譲渡は譲渡対価を個別資産の内訳にブレイクダウンし、それぞれの資産の譲渡が消費税の課税の対象になるかどうか、一つ一つ見ながら判定しなければなりません。

たとえば、次のような資産は課税の対象とされます。

・原材料、仕掛品、製品などの棚卸資産
・建物、機械装置、器具備品、車両などの固定資産(ただし土地は非課税)
・特許権や商標権などの無形固定資産
・営業権(のれん代)


このほか、債権や有価証券には、基本的に消費税は課税されません。

実務上、事業譲渡契約書の定め方によっては、個別の資産ごとの価格が記載されていないケースもあります。しかし、税金を計算する上では、個別の資産ごとに判断することになります。事業譲渡契約書には個別の資産ごとの価格を記載することをおすすめします。

まとめ

会社が事業譲渡の手法を用いる際、法人税や消費税といった税金は無視できません。事業譲渡するか検討する際には、これらの税コストも見込んだ上で、手取額で判断することをおすすめします。


 

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