不動産・税
2018/09/13

事業承継における「相続税」 納税対策を考える

(画像=PIXTA)
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事業承継時に現経営者から自社株式を後継者に相続する場合、企業業績が良いなどの理由で自社株の評価が高くなってしまい、相続人となる後継者に重い相続税の納税負担が発生してしまうことがあります。こうしたケースに当てはまる場合は、早期から納税資金の確保に向けた対策を進めておく必要があります。

「金庫株」を活用して後継者の相続税負担を軽減

相続税を払うための方法として、「金庫株」を活用する方法があります。金庫株とは会社が取得した自社株式のことです。株主総会の普通決議があれば会社は株主から自社株式を買い取ることが可能です。

事業承継の際、現経営者は承継後の経営の安定のために、自身で保有している自社株の相続を後継者に集中させます。後継者はその相続した株式を会社に売却することで現金を得ることができます。この現金を相続税納税の原資に充てるという流れです。

この自社の株式を会社が取得するスキームは、2001年の商法改正を契機に「原則禁止」規定が見直され、財源規制や純資産額の最低条件などを満たした上で「原則容認」となった経緯があります。

自社株の取得については、毎年1度開催される定時株主総会だけではなく、臨時株主総会でも決議をすることができます。後継者が支払う納税額を確保するための有効な方法の一つですので、こうした知識も持っておくことが重要です。

「退職金」を現経営者が受け取ることで将来的な納税原資に

現経営者が事業承継の際に会社から退職金を受け取り、将来的にその現金・預金を後継者に相続することで、相続税を納税するための資金として後継者に活用させる手法もあります。現経営者から後継者への現金・預金の相続は相続税の課税対象になりますが、最終的に現金・預金が後継者に残る形になれば相続人の保有資金は増えますので、相続税の納税資金対策になるというわけです。

「生命保険」の受取人を後継者に指定するという手法

生命保険を活用することによって、後継者の相続税負担を減らす工夫もあります。現経営者の死亡保険金の受取人を後継者に指定していた場合、現経営者が亡くなったときに後継者は死亡保険金を現金で受け取ります。こうして得た資金を相続税の納税額に充てようという手法です。死亡保険金には一定の非課税枠も設けられているため、節税にもつながります。

相続税・贈与税の納税猶予・免除制度を利用する

このように、相続税納税のために資金をどう工面するかも重要な対策であると言えますが、自社株の相続については納税猶予制度を活用することも有効な方策です。いわゆる「事業承継税制」の活用です。

平成30年度税制改正ではこの事業承継税制に10年間の特例措置が設けられ、納税猶予の対象となる株式の上限が撤廃されるなどしました。また一般措置では複数の株主から1人の後継者のみの自社株式の相続が対象でしたが、特例措置では最大3人の後継者への相続も納税猶予の対象となっています。

後継者が亡くなった場合や身体障害や精神障害によって会社の代表権を有しなくなった場合には、一定の条件下で猶予されていた納税が免除される枠組みもあります。

特例措置の適用を受けるためには、都道府県知事の認定を受けることや申告書を作成して提出すること、猶予の継続届出書を提出することなどが必要になります。

余裕を持った準備で後継者の負担や不安も減らす

事業承継を行う際に相続税の納税で悩みを抱える後継者は決して少なくありません。そのために現経営者は事業承継を完了させる前に、余裕を持って準備をしておくことが肝心です。正しい知識を持って臨みましょう。

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