不動産・税
2018/05/31

不動産を生前贈与すると本当に相続税対策になるのか?

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
不動産を生前贈与すると相続税対策になるという話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。今回は、不動産を生前贈与すると本当に相続税対策になるのか?という疑問について、分かりやすく解説しましょう。

不動産を生前贈与するとどうなるのか

まず不動産を生前贈与するというのはどのようなことでしょうか。ここで「不動産」とは、主に賃料収入を得る目的で所有する収益物件のことをさします。ここでは、オーナーは個人事業主であると仮定しましょう。

「生前贈与する」とは、無償で所有権を生前に移すという意味です。つまり生前贈与とは、収益物件のオーナーが、誰かに収益物件を「タダであげる」ことを意味しています。オーナーがタダで収益物件を手渡す相手はほとんどの場合、親族です。特に相続税対策を考えるなら、親族の中でもオーナーの子どもや孫が有力候補者になるでしょう。

なぜ子どもや孫が有力候補になるかといえば、収益物件からは通常、賃料収入が発生します。オーナーが個人事業主である場合、税引後の手取額はオーナーが受け取ります。仮にオーナーが亡くなったとすると、相続すべきものは収益物件と累積した現預金である賃料収入が相続財産となります。

早めに財産を相続すると、オーナーの相続財産から収益物件と賃料収入がなくなります。早いうちに移転すればするほど、オーナーが賃料として得る現預金は少なくなります。これにより相続税の減少が期待できます。

また、所得税は所得が多くなればなるほど税率が高くなる累進課税の方式を取っています。賃料収入の額が同じであってもオーナーよりも、子供や孫の所得が低ければ生前贈与により分散しておけば所得税の総額も安くなると想定できます。

不動産を生前贈与するメリットとデメリット

不動産は生前贈与すればいい場合と、そうでない場合があります。不動産を生前贈与するメリットとデメリットを整理しましょう。

●メリット

次世代の納税資金確保と資産形成に役立つ

相続が発生するまでに時間があると考えられる場合、賃料収入を現預金として確保しておけば、相続税を収める資金の確保にもつながります。早めに生前贈与すれば、相続を受ける側が早めに資産形成することが可能となります。納税資金を貯めるのは時間がかかります。そのため、あらかじめ収益源を確保しておくことが大事だといえるでしょう。

●デメリット

(1)オーナーの賃料収入がなくなる

不動産を生前贈与すると、当然ですがオーナー側に賃料は入らなくなります。相続税対策を考えるあまり、オーナーにとって必要不可欠な収入源がなくなってしまっては本末転倒です。オーナー側が確保すべき収入を把握した上で、本当にその不動産を生前贈与してもいいのか検討する必要があります。

(2)生前贈与加算

相続税には、相続前3年以内に贈与した資産を相続税の対象とする「生前贈与加算」という制度があります。したがって、「不動産を生前に贈与したから、不動産に関しては相続税が課税されない」と考えるのは少し危険です。相続税法には生前贈与加算という制度があることを知った上で、不動産を生前贈与するかどうか決めましょう。

(3)小規模宅地等の特例が使えなくなる

オーナーが収益物件を相続する場合には「小規模宅地等の特例」が使えるケースがあります。特例が適用された場合、土地の評価額を最大50%減らすことができます。

ただし、収益物件を多数所有しており、「他の物件で小規模宅地特例の枠を使う」と決めているなら、収益物件の一部を贈与しても問題はないでしょう。このように複数物件を持っている時にはどの財産を贈与し、相続までもっているのか整理して準備しておく必要があります。

不動産の生前贈与は賢く行うべき

「不動産を生前贈与すると相続税対策になるか?」という問いに対する答えは、「確かに相続税対策になる場合はあるが、メリット、デメリットを踏まえ、十分に検討した上で実行すべき」ということになります。本記事で紹介したメリット、デメリットを知った上で、賢く不動産を生前贈与するか検討していきましょう。

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